2013年04月06日
『食べるラー油』のはなし
ちょっと前、沖縄の石垣島のある食堂の『食べるラー油』が話題になりましたよね。
石垣島と那覇のお店でしか買えないという限定が、話題性を一層高めました。
たまにわしたショップなどに並ぶと、とたんに売り切れという大人気商品でした。
私も、あちこちの人から『沖縄に行ったら買ってきて』とか言われて、友人に頼んだりした覚えがあります。
ところが、少し時間が経つと、マチグァーのあちこちに置いてある。
それも、山のように積んである。
それに加えて、類似品もいっぱいでてきました。
美味しいか美味しくないか、味はともかく、石垣島のラー油という事で、旅行者などがお土産に買って帰ったのだろうと想います。
そうなると、珍しがって探す必要も無く、またどうしても必要な物でもなく、だんだんと話題にもならなくなりました。
今はもう、沖縄に行ってもラー油を買って帰る人は居ないのじゃないでしょうか。
『ぬちまーす』という変わった作り方をするお塩も話題になり、一時は手に入らないくらいの人気でしたが、今は全然ですよね。
なぜ、そうなったかというと、一つは作りすぎ、一つは本当はそんなに良い物でもなかった事が理由なのだろうと想います。
本当に良い物でもなく、それが話題性にのって仮需要が膨らみ、増産されると、一時は販売数量は多くなるかも知れませんが、生産設備の過剰と膨大な売れ残りを生みます。
膨大な売れ残りは、必ず、価格崩壊につながり、利益率の乗らない商品は、店頭から消える運命にあります。
つまり、いくらマーケティングで商品を市場に押し込もうとしても、その商品が本当に良い物でなければ、必ず売れ残って、市場から放逐されるということです。
とくに手作りのものは、良い物がそんなにたくさん出来るわけが無い。
たべるラー油も始めは手作りで材料を吟味して作っていたのでしょうが、量産すれば機械化され、材料も落ち、味の吟味も怠られたにちがいありません。
大阪で有名な塩昆布屋も、増産によって香辛料や昆布の質を落とさざるを得ず、今は、その名声を落としています。
新潟の有名な鮭の加工食品も、同じです。
そんな話は枚挙にいとまがない。
そんなのは、その会社の経営者の判断ですから、繁盛しようが潰れようが、私の知った事じゃありません。
しかし、伝統工芸となると話は別です。
伝統工芸、伝統芸能というのは、それに関わる人達だけのものじゃない。
国民、そして人類全体の財産であり宝物です。
私がなんでこんな話を書くかと言えば、沖縄で染織に携わる人達、とくにリーダー的存在にある人に、この『ラー油』の話をよく考えて欲しいのです。
沖縄には他にもこんな話がありますね。
『ちんすこう』という名菓もそうです。
本来、ちんすこうは美味しいお菓子です。
でも、作りすぎたため、山と積まれて、在庫期間が長くなり、油がまわってしまった。
それで、『ちんすこうは不味い』という定評が出来てしまって、『沖縄土産、ちんすこうなら要らない』と言われるようになってしまった。
でも、新垣菓子店のちんすこうは美味しい。
でも、美味しい新垣菓子店のちんすこうも、不味いと想われてしまってます。
まずい作品が多くなると、沖縄物は全部つまらないと想われてしまうのですよ。
つまり、沖縄にはろくなモノが無いと想われてしまう。
そして、市場に滞留する商品が多くなると、価格がさがって、利益率が下がる。
利益率がさがると、売場を失います。
もっと売れて儲かる商品を置こうとするのは当然の事です。
『きものは別でしょう?』
そう想いますか?
同じような理由で、市場から消えた商品はたくさんあるのですよ。
明綴れの帯、蘇州刺繍のキモノ、いま、どこにありますか?
作家物のキモノも一世を風靡しながら、いまは二束三文どころか、鼻も引っかけないなんて物もたくさんあるのです。
すべて、原因は、粗造乱売です。そして、作りすぎです。
私は何回も何回も書いてますが、作りすぎは短命に繋がります。
市場はどんどん縮小しています。
それなのに、沖縄の生産体制はどんどん拡大している。
沖縄のキモノが特別なほど、品質やデザインが良いわけではありません。
これからは、良い物を工夫して作って、値段を守る時代です。
品質を第一に考える時代です。
手を抜いて作った品物はすべて売れ残ると想ってください。
作りすぎた商品はいつまでも滞留します。
安くなってお客様のタンスに収まっても、タンスが一杯になればそれ以上入らないのです。
そうなれば、どんなに良い商品を造っても、見向きもしてもらえません。
今は、またそれが、リサイクル市場に環流してきます。
そうなると、延々と市場は飽和したまま、という事になります。
食べ物より始末が悪いのです。
一人一人が自覚すれば、活路はあります。
手をつないで渡っても、みんなで沈没するだけです。
気づいた人から、実行にうつしてほしい。
そうでないと、なんとか牧場のキャラメルみたいになりますよ・・・
石垣島と那覇のお店でしか買えないという限定が、話題性を一層高めました。
たまにわしたショップなどに並ぶと、とたんに売り切れという大人気商品でした。
私も、あちこちの人から『沖縄に行ったら買ってきて』とか言われて、友人に頼んだりした覚えがあります。
ところが、少し時間が経つと、マチグァーのあちこちに置いてある。
それも、山のように積んである。
それに加えて、類似品もいっぱいでてきました。
美味しいか美味しくないか、味はともかく、石垣島のラー油という事で、旅行者などがお土産に買って帰ったのだろうと想います。
そうなると、珍しがって探す必要も無く、またどうしても必要な物でもなく、だんだんと話題にもならなくなりました。
今はもう、沖縄に行ってもラー油を買って帰る人は居ないのじゃないでしょうか。
『ぬちまーす』という変わった作り方をするお塩も話題になり、一時は手に入らないくらいの人気でしたが、今は全然ですよね。
なぜ、そうなったかというと、一つは作りすぎ、一つは本当はそんなに良い物でもなかった事が理由なのだろうと想います。
本当に良い物でもなく、それが話題性にのって仮需要が膨らみ、増産されると、一時は販売数量は多くなるかも知れませんが、生産設備の過剰と膨大な売れ残りを生みます。
膨大な売れ残りは、必ず、価格崩壊につながり、利益率の乗らない商品は、店頭から消える運命にあります。
つまり、いくらマーケティングで商品を市場に押し込もうとしても、その商品が本当に良い物でなければ、必ず売れ残って、市場から放逐されるということです。
とくに手作りのものは、良い物がそんなにたくさん出来るわけが無い。
たべるラー油も始めは手作りで材料を吟味して作っていたのでしょうが、量産すれば機械化され、材料も落ち、味の吟味も怠られたにちがいありません。
大阪で有名な塩昆布屋も、増産によって香辛料や昆布の質を落とさざるを得ず、今は、その名声を落としています。
新潟の有名な鮭の加工食品も、同じです。
そんな話は枚挙にいとまがない。
そんなのは、その会社の経営者の判断ですから、繁盛しようが潰れようが、私の知った事じゃありません。
しかし、伝統工芸となると話は別です。
伝統工芸、伝統芸能というのは、それに関わる人達だけのものじゃない。
国民、そして人類全体の財産であり宝物です。
私がなんでこんな話を書くかと言えば、沖縄で染織に携わる人達、とくにリーダー的存在にある人に、この『ラー油』の話をよく考えて欲しいのです。
沖縄には他にもこんな話がありますね。
『ちんすこう』という名菓もそうです。
本来、ちんすこうは美味しいお菓子です。
でも、作りすぎたため、山と積まれて、在庫期間が長くなり、油がまわってしまった。
それで、『ちんすこうは不味い』という定評が出来てしまって、『沖縄土産、ちんすこうなら要らない』と言われるようになってしまった。
でも、新垣菓子店のちんすこうは美味しい。
でも、美味しい新垣菓子店のちんすこうも、不味いと想われてしまってます。
まずい作品が多くなると、沖縄物は全部つまらないと想われてしまうのですよ。
つまり、沖縄にはろくなモノが無いと想われてしまう。
そして、市場に滞留する商品が多くなると、価格がさがって、利益率が下がる。
利益率がさがると、売場を失います。
もっと売れて儲かる商品を置こうとするのは当然の事です。
『きものは別でしょう?』
そう想いますか?
同じような理由で、市場から消えた商品はたくさんあるのですよ。
明綴れの帯、蘇州刺繍のキモノ、いま、どこにありますか?
作家物のキモノも一世を風靡しながら、いまは二束三文どころか、鼻も引っかけないなんて物もたくさんあるのです。
すべて、原因は、粗造乱売です。そして、作りすぎです。
私は何回も何回も書いてますが、作りすぎは短命に繋がります。
市場はどんどん縮小しています。
それなのに、沖縄の生産体制はどんどん拡大している。
沖縄のキモノが特別なほど、品質やデザインが良いわけではありません。
これからは、良い物を工夫して作って、値段を守る時代です。
品質を第一に考える時代です。
手を抜いて作った品物はすべて売れ残ると想ってください。
作りすぎた商品はいつまでも滞留します。
安くなってお客様のタンスに収まっても、タンスが一杯になればそれ以上入らないのです。
そうなれば、どんなに良い商品を造っても、見向きもしてもらえません。
今は、またそれが、リサイクル市場に環流してきます。
そうなると、延々と市場は飽和したまま、という事になります。
食べ物より始末が悪いのです。
一人一人が自覚すれば、活路はあります。
手をつないで渡っても、みんなで沈没するだけです。
気づいた人から、実行にうつしてほしい。
そうでないと、なんとか牧場のキャラメルみたいになりますよ・・・
Posted by 渡辺幻門 at 16:31│Comments(0)
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