オオサカジン

  | 羽曳野市

新規登録ログインヘルプ


2011年10月18日

もずやと学ぶ染織マーケティング<34回目>

10−3 産業の枠組みを構成する競争

鳥取に来ていますが、今日は寒いくらいです。

いよいよ食欲の秋?読書の秋?の到来でしょうか。

この時期になるとあちこち松茸を探して車を走らせるのですが、ここ数年はなかなか縁がありません。

地方では、うまくいくと、籠に一杯、そうですね・・・大きいのが5本くらいで1万円以下で買えたりするのです。

それを贅沢にすき焼きに入れて食べるというのが母の大好物で、そのためには大量の松茸が必要なのです。

いままでは鳥取や諏訪で仕込んでいたのですが、それが最近はとんとご無沙汰です。

1本1万円なんていうのは、もったいないですしね。

マッタケの話はいいとして(^^;)、本題に入りましょう。

ここでは『システム・アップ』と『システム・ダウン』について書かれています。

つまり産業の境界をどこに置くか、という話ですね。

システム・アップとは、

『複数の製品分野を融合してシステム化を進めて行くことを指す。産業の枠組みがシステム・アップすると、蓄積すべき経営資源や、必要となるマーケティング・ミックスの枠組みが異なってくる』


わかりやすい例ではシステムキッチンというやつですね。

私が子供の頃は、流し台があったかなかったか、という感じで、シンクと調理するところ、そしてガステーブルは別々でしたし、

もちろん、メーカーも売っている所も別々でした。それがシステムキッチンになって、全部統合されて、台所がスッキリしたんです。

つまり、関連のモノをすべてぶち込んで、一つの製品・商品として売るという事ですね。

『システム・ダウン』というのがその逆で、この本であげられている例では、パソコン本体と周辺器機です。

IBMは周辺器機も自分で作って売ろうとしたけども、それに対して低価格で性能の良い周辺器機で対抗するメーカーが出てきた。

これが実現すればシステム・ダウンという事になるわけです。


ではでは、私達の呉服業界に置き換えて考えて見ましょう。

もともと、呉服というか和装関連というのはバラバラで売られていました。

着物は呉服(絹)と太物(綿)に分けられて売られていたし、草履、袋物(バッグ)はそれぞれ専門のお店があって別々に売られていた。

足袋は足袋屋があり、小物は小物の専門店があったのです。

そして、それぞれが、他の領分を侵そうともしなかったのですね。

私がこの業界に入ったころはまだ、そういう感じが残っていて、弊社に絵羽物や袋帯を売ってはいけないというデパートもありました。

つまり、小紋・色無地・染の名古屋帯、そして沖縄の織物しか売ってはいけなかったのです。

ところがだんだんそれが崩れてきて、売れさえすれば何でもいいですよ、という事になってきました。

うちはやりませんが、袋物や草履まで在庫を持って売る小売店も出てきました。

専門性も薄れて、京友禅から大島はもちろん、小物まで揃う!なんていう総合小売店が出てきたわけです。

そのでかいのがNC(ナショナルチェーン)ですね。

そういった流れの中で、老舗のはきもの屋さんが潰れたりして、いまは良い草履バッグを探すのも骨が折れます。

そういう感じでだんだんと、和装関係の小売は大手を中心にシステムアップが進んできたわけですね。

また、そうすることによって売上を拡大してきたんです。

着物を買えば、帯も帯締め帯揚げも草履もバッグも、髪飾りも・・・全部トータルで売る・・・

そんな販売方法が広がってきたわけです。

この本のコラム(10−1)に面白い事が書いてあります。

システム化の動向に関わる状況要因についてです。

?顧客の知識
 高い製品知識をもつ買い手は、どのような部品を必要としているかを自ら判断する事ができる。、逆に知識を持たなければ買い手はシステム全体をまとめて購入するしかない。こうした製品に対する知識は、買い手が使用経験を積むにつれて深まっていくものである。そのため、一般的に買い換え需要が増えると、産業のシステムダウンを進めやすくなる

?競争企業の経営資源
豊富な経営資源をもつ企業が存在する産業は、競争企業もシステムアップを誘導しようとする。そのため、システム・アップを進めやすくなる。

?生産コスト
最適生産規模の大きな部品は、各システム・メーカーがそれぞれ自社生産するよりも、部品メーカーが一手にその供給を引き受けた方が割安になる。こうした部品メーカーが増えると、産業のシステム・ダウンが怒りやすくなる。

?独占禁止法


和装業界が何故、システムアップしたか、を考えると、戦後の服飾習慣を考えずにはいられません。

いまの70歳以上の人は、それなりに着物を着てきています。

しかし、それ以降の女性は、着物の着用率がグンと低くなっていると想います。

私が高校生くらいになると、入学式・卒業式に着物でくるお母さん方は本当に少なくなっていました。

それまで、つまり小学校や中学校の時は、ほとんどのお母さんが着物、当時は色無地に黒紋付きの羽織を着ていたのです。

いま60歳前後、つまり団塊の世代になって、着物がほとんど着られなくなってしまいます。

ということは、いま40歳以下の人の多くははお母さんの着物姿を見たことが無い、という異なります。

その世代がピークになりますが、戦後生まれの人は、総じて着物に対する関心度が低く、着用していません。

私達の世代まではお嫁入り道具に着物をたくさん揃えてもらった女性も多いと想いますが、

多くはタンスに眠っているはずです。

最近、着物ブームと言われていますが、そこで問題と感じるのが『着物の世代的断絶』なのです。

着物=染や織、コーディネート、柄行などの知識が、親から子へ、子から孫へと継承されていない。

着物は本来、日本人の民族衣装ですから、精通していて当たり前なのですが、それがそうなっていない。

若い人が着ようと想っても、身近に着物の事を知っている人が居ない。母親も着物を着たことが無いという・・・

これが、?の顧客の知識、に引っかかるわけです。

着物世代の断絶によって、顧客が頼るのは着物を知っていそうな人=着物を着ている年配の女性や、有名人という事になってしまいます。

むかしは、色々と買い回って楽しんでいた物が、どうせ買うならトータルコーディネートしてもらって・・・とか言って、

頭のてっぺんからつま先まで、その『知ってそうな女性』に広大な展示会場で買い物を任せるという事になる。

消費者は解らないわけですから、『知ってそうな女性』が本当は何も知らない事も解らないし、高い値段が付いている着物が

現実にはボロである事もわかり得ない。でも、大きなホテルで煌びやかな展示会で、有名人も来て・・・

だから全部任せて安心!ということになっちゃうわけですね。

ここで出てくるのが?の経営資源です。

大手が金に物を言わせて、お客をかき集め、超一流ホテルで盛大な展示会をする。

そして、あれもこれも、売れる物はそこに全部ぶち込んで、売って売って売りまくる・・・

本来、現代の着物というのは専門品ですから、ブランドなどの商品知識を十分に集めた上で、購買にいたるものです。

ところが、十分な情報もなく、溢れている情報がでたらめだったりする。

ましてや、着物に限らず、繊維製品の品質というのはプロでもなかなか判断が付かないのです。

ですから本来は、専門性が高い、ほんとうのプロが一つ一つ眼をこらして品物を集めている専門店で買うのが良いのです。

ところがまた、このプロがなかなかいない。

バブル時代に、なんでもかんでも売れすぎたために、また買い取りをしないで委託中心になってしまったために、

バイイングやMD(品揃え)の能力が極端に低下しているのです。

本当は?で書かれているように買い換え需要に関してはサイズダウンへと行って欲しいのですが、さてさて、それも受け皿がない。

すべての解決方法は、?の消費者のみなさんに知識を持ってもらう、という事しか解決方法が無いのです。

では、どうやったら、解るようになるのか?

銀座泰三先輩も先日のブログで書かれていましたが、紬というか織物に関して言えば、最高の物を着たおすのが一番の近道だと想います。

生産者でも安物を作っている人は高級品を見ても解らないようです。

コピー商品しかつくっていない生産者が本物を見て触って『うちのと同じやん』と言ったという笑えない話もあります。

システムアップというのは一面では生産者・流通・消費者にメリットのあることですが、こと専門品に関しては、

不向きではないかと私は思います。

なぜなら、?で書かれている経営資源が伴わないからです。

経営資源というのは人、モノ、金、ノウハウ、情報です。

モノや金はあっても情報がないとダメなのです。

そして、専門性の高い工芸品については、情報の蓄積が非常に大事なのです。

これがシステムアップに向いていないと想う理由です。

業界が正常化するためには、システムダウンして、高度に専門化する必要があるのではないかと想いますね。


Posted by 渡辺幻門 at 18:28│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。