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  | 羽曳野市

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2011年06月19日

もずやと学ぶ染織マーケティング<22回目>

7−2 購買意思決定の分析

まず、はじめにポイントというか用語を整理しておきましょう。

購買意思決定:購買する場合、消費者は購買可能な製品・サービスの中から裁量の物を選ぼうとする。さまざまな選択代案を知覚して、それらを評価すること。

消費者情報処理:消費者は複数の銘柄について、これらの多岐にわたる属性とその細目を何らかの形で知覚し、評価しなければならない。このプロセスを『消費者情報処理のプロセス』という。

ヒューリスティクス:知覚や評価の進め方のルール。マーケティングにあたっては、どのようなヒューリスティクスがターゲットとなる消費者の知覚と評価を導いているのかを十分に考慮する必要がある。

手段−目的の連鎖:消費者の必要や欲求を手段と目的の連鎖的な構成物としてとらえたものである。

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この『もずやと学ぶ染織マーケティング』ですが、テキストは『ゼミナール マーケティング入門』という本を使っています。

なぜ、この本にしたかというと、私が学生時代に使っている本は内容が古いと思ったこと、基礎的なことをわかりやすく書いていること、例がたくさん引かれていること、そして、著者の一人に村田ゼミの先輩の嶋口充輝さんがふくまれていたこと、等です。

この本を何で探したかというと、アマゾンです。まず、マーケティングと書き込んで検索する。そうすると何冊も出てきます。その中で、入門書を探す。薄っぺらい物だとすぐに終わってしまって面白く無いので、そこそこの分量があるものにする。そして最後は著者です。マーケティングと言っても出来れば同門の学者さんが書いた物が私としては受け入れやすい事は間違いなく、それらを総合してこの本に決めたわけです。

※ この勉強会の記事を読んで下っている方が最近多くなってきて喜んでいますが、もし、テキストを買っていらっしゃらないなら、ぜひ、お買い求めください。私は何の利益供与も受けておりませんが、本代をケチってはいけません。とくに学生さんは、いまのうちにいろんな知識を詰め込んで置いてください。あとになって必ず役に立ちます。


話はそれましたが、つまり、アマゾンで知覚し、購買意思決定プロセス、目的−手段の連鎖を経て、購入したわけですね。

ちょっと考えて見ましょう。
沖縄の染織においては、どこに問題があると思いますか?

評価するためには、事前に情報が必要だということは分かりますね。
知覚されるだけでなく、評価されるためにも、露出=アピールが必要な訳です。

では、着物の場合はどんな感じになっていますか?

最近は、雑誌でも、本でも沖縄の染織を取り上げていることが多くなってきましたので、消費者の方のほとんどはそこで情報を得ているのでしょう。

あとは、展示会ですよね。店頭に常時沖縄物を置いているところというのは、ほとんどありません。

でも、着物を初めとする衣料品が正しく知覚・評価されるのに、写真や画面、あるいは生地の状態で見るというので、本当に十分でしょうか。

とくに高額品の場合、本物を観る事さえ、困難です。風合いや色合いなど、どんなに技術が進んでも、正しく質感が伝わることはないと思います。

ですから、私は基本的に作品をネットに載せることをやめました。

京友禅などの場合、どんなところで見て、評価のための情報を掴むかといえば、内地では結婚式やパーティー、京都に行けば芸妓、舞妓が来て歩いています。銀座や新地のクラブに行けば、ママが良い着物を着ていたりします。

沖縄染織は?

どこで着ている姿を見ることが出来ますか?

私はもう何十回と沖縄に行っていますが、街中で着物姿の女性に会ったことがありません。せいぜい、民謡酒場の女性か国立劇場の出演者です。

八重山上布、宮古上布、芭蕉布は着ていると涼しい。裸で居るより涼しい。とくに琉装に仕立てると、風の中に居るようでたまらなく心地よい。

しかし、教科書に書いてあるように手段−目的の連鎖の中で、購買の必要や欲求は『偶有性』を帯びているのです。

つまり、着て涼しいなら、Tシャツに短パンで良いじゃないか、という事もあり得るわけです。

それをどうやって、着物を着せる、とくに沖縄の着物を着てもらうと言う風に誘導するか、それがマーケティングにおいて考えなければならないことなのです。

つまり、暑い夏→着物は涼しい→沖縄

というイメージを確立せねば、浴衣や他の夏物に負けてしまうと言うことです。

夏休み時期に沖縄に行くと、空港では紅型装束の女性が迎えてくれたりします。

でも、なんで、クソ熱い時期に、あんな格好をしているのですかね。

せめて、駒上布くらいを着せて、きりりとカンプーにジーファーの髪で迎えたら、さぞ、観光客も涼しく感じる事だろうと思うのです。

国立劇場に行っても、着物姿の観客を見たことがありません。

私が沖縄で着物姿を大量に見たのは、那覇伝統織物事業協同組合の30周年パーティーの時だけです。

もっているなら、なぜ、もっと着ないのでしょう。

沖縄に来る観光客の中には沖縄の染織に興味を持たれている方も大勢いらっしゃるはずですし、県民の中にも、着ている姿を見れば美しいと思い、自分も着てみたいと思うようになるでしょう。

造る人が自分の作品を使ったことがない、これは本来、恐るべき事です。『良い物を造っている』と言いますが、何をもって良い物と言っているのでしょう。

それは『昔から良い物とされている』技法を使った物に過ぎないんじゃないでしょうか。それが現代人の体や、現在の気候・風土にあっているか、自分で感じてみないで、どうやって良い物が造れるのでしょうか。

昔は王府が品質を管理していましたから、一定の内容は保たれていたでしょうが、今は、吟味出来る人が流通に居ません。消費者にダイレクトに判断がゆだねられてしまうのです。

商人でも、自分が着てみもしない、作者と会ったこともない、どんな内容かも知らない、品質を吟味する術も知らないで、ラベルだけを信用して『良い物ですよ』なんて、よく言える物だと思います。

作家さん個人ではなかなか資金的に作品を買い取ったりすることは難しいかもしれません。とくに宮古上布や芭蕉布などは非常に高価ですし、数量もすくないので不可能でしょう。

だったら、くだらない助成金・補助金を組合に渡すより、県が染織品を買い取って、職員に着せて、首里や国際通りを歩かせればいいのです。

作り手は、B反や不合格反を出してしまったら、自分で買い取って着ればいい。

着て歩く事が、観る人の知覚と評価をこちらに向けることになるのです。

そうすれば、制作においてもまた違った観点が生まれてアイデアが出てくるでしょうし、『着るための着物』『締めるための帯』ということが実感できるでしょう。

造り酒屋の主は、たとえ酒が飲めなくても、味見くらいはして、品質を確かめる物です。それもしないで、良い材料できちんと造ったのだからおいしいはずだ、というのはタダ単なる傲慢であり怠慢です。

沖縄県民自ら、着物を着る事です。
まずはじめに、染織に関わる者から始めましょう。

それが最大のマーケティング活動になると私は思います。
Posted by 渡辺幻門 at 18:28│Comments(1)
この記事へのコメント

>夏休み時期に沖縄に行くと、空港では紅型装束の女性が迎えてくれたりします。でも、なんで、クソ熱い時期に、あんな格好をしているのですかね。<
それはやはり、観光客にとってはそれが沖縄のイメージだからでしょうね。あと、ハイビスカスに青い海、まぶしい太陽・・・・・。紬や手織物はやはり地味ですから。そして、経済面のこともあるのではないでしょうか?ひょっとして、一番経済的なのでは?
Posted by お針箱 at 2011年06月20日 00:11
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