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  | 羽曳野市

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2012年10月24日

次なる連載は『もずやと学ぶ日本の伝統織物』

『芸術と経済のジレンマ』の連載も終盤にさしかかり、文楽の助成金問題も一段落したところで、次の連載を考えていました。

ある方から『日本の織物を総括して学べる本はないか?』と聞かれ、何冊か買ってみました。

すると、なじみ深い著者の本に行き当たりました。



染織と生活者の冨山弘基氏の書かれた本でで、この方は弊社の先代とも関わりのあった方です。

私がこの世界に入ったときも、この方の書かれた本を教科書として基礎を学びました。




正直言って、私は他産地の織物に関する知識は沖縄に関するそれの半分も持って居ません。

もちろん、商いに必要な知識は持っていますが、沖縄に比べたら大人と赤ちゃんくらいの差があります。

常々、体系的に勉強したいと想っていたのですが、なかなか機会に恵まれずにいました。

せっかくこの本を手にしたので、読者の皆様と一緒に勉強したいと想います。


雑誌的に書かれた本は知識としては大して役に立ちません。

着物ファンの芸能人や文化人が書いたものも同じです。

きちんとした研究者が書いた本を、批判的に、事実と照らし合わせながら読む事が必要です。

前掲の『沖縄の伝統染織』も書かれた年代が古く、調査も十分でなかったせいか誤りも散見されます。

これは著者が悪いのではなく、仕事としてどっぷり浸かっていないと見えてこない部分がどうしてもあるのです。

しかし、プロの染織研究家の書いたものは基本的に著者が内容について責任を持っています。

ですから、きちんとしたある程度アカデミックな本を読まないといけないのです。


もう一つ、私が沖縄以外の産地の事を取り上げようとした理由があります。

沖縄や京都などには染織を学ぶためにたくさんの若い人達が集まってきます。

若い従事者の半数近くが県外の人でしめられているという現場もあります。

しかし、基本的に染織をはじめとする伝統工芸は、その土地の風土の中でうまれるものです。

沖縄や京都で染織を学んだ人が、もし郷里に帰ったときに、どんな仕事をするのでしょうか?

沖縄の人間でもない、沖縄でやるのでもない。

それが悪いとか、意味の無いことだとか言っているのでは全くありません。

でも、ひとつの選択肢として、学んだ技術を使って『郷里の伝統染織の復活』を試みる、という事はありえないでしょうか。

この本を見ても解るように、この本が書かれた昭和30年代後半には、まだまだたくさんの伝統染織が全国で息づいて居ました。

ちょうど私が生まれた頃ですが、そのころはまだあったのです。

と言うことは、私の曾祖母の頃は、まだやっていた人が居たのです。そんな遙か昔の話ではないのです。

確かに、手織り、手染めの着物は高価になってしまいます。

多くの染織品が市場に適応できずに消滅したのです。

これからも、染織品を手仕事でやって、一家の生計を成り立たせるというのは至難の業であると想います。

でも、私は『女性の趣味の延長』としてなら十分出来る仕事であるし、やる価値は十分すぎるくらいにあると想うのです。

流通も次第に変わっていくでしょうし、現金収入を得るための機織から、『郷土の文化発信』としての役割を担えるのではないかと想うのです。

そうすれば、みずからの郷土の歴史や自然の豊かさ、先祖の知恵などを心身両面から感じる事が出来るでしょうし、非常に意味のある仕事になる、私はそう思うのです。

また、着物ファンの方も、その発信の中から『わが国の豊かさ』や『キモノを着る事の本当の意味』を感じて頂けるのではないかと想います。

この連載を進めながら、出来れば現物に当たり、風土に触れながら、いろんな事を考えて行きたいと想います。

ひとつひとつ、丁寧に読み進めたいと想います。

『芸術と経済のジレンマ』が終了次第、始めます。

宜しくお願いいたします。






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Posted by 渡辺幻門 at 22:00│Comments(0)日本の伝統織物
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