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2013年03月10日

『もずやと学ぶアーツ&クラフツ』第8話

【フランス 花のスタイル】

この本は、工芸の助けとするにはあまりにも細かいので、必要な部分を抜粋して書きますね。

ここにきて、ようやくおなじみの名前が出てきます。

アールヌーボーを少しでも知っていれば、エミール・ガレの名は記憶があるだろうと想います。

まず、フランスのアール・ヌーボーはパリとナンシーの二つの都市を拠点としていました。

その一つ、ナンシーで生まれたのがエミール・ガレです。

ガレは、哲学・生物学・製図を学んだそうです。

もともと焼き物や家具を作っていたそうですが、モリスの運動に共鳴してガラス器を作るようになったそうです。

本にはグチャグチャ書いてありますが、ここがポイントです。

ロレーヌの豊かな資源と工芸の伝統からエミール・ガレを中心とするナンシー派がうまれたんです。

ガレが、哲学、生物学、製図を学んでいた。

これを知っただけで、作品を見たことのある人の中にはピンとくる人もいるだろうと想います。

まず、哲学を学んだからこそ、モリスに影響されたのでしょう。

アーツ&クラフツは遡れば哲学にいきつきます。

そして、生物学。

ガレの作品が細かく、ある意味生々しい生き物の描写はグロテスクにさえ映ります。

そして製図。

製図は立体を平面にする作業です。

そこにナンシーの環境とガレの感性が加わって、あのガラス器が生まれたんです。

生物学により、生き物を細かくとらえる目を、そして製図で立体のものを平面に置き換える手を持った。

つまり、活き活きとした自然を工芸品の中に閉じ込める術を会得していたんですね。

ガレの作品を見るとき、諏訪の北澤美術館に行くと光線のあて方に工夫がされていて、とても美しいのですが、

ガラスの色だけでなく、その生物の描写です。

現実に見ないと解らないと想うので、是非、諏訪の北澤美術館に行ってみてください。

あそこから、アール・ヌーボーそしてアール・デコのはじまりを感じてもらえたらいいと想います。

ガレは日本の陶器を模したガラス作品も作っています。

それだけ、日本の工芸品が『自然を作品にとじこめる』事に優れていたということです。

あのガレのそのまんまの描写から、だんだんと抽象化、図案化してくる。

これがデザインのはじまりです。

ここにも書かれているルネ・ラリックやマイセンも、いままでのモノに新たな価値を付け加えたんですね。

日本人にとっては、当たり前に見えるモノでも、当時の欧米人にとっては画期的なことだったんです。

それは、『立体のモノを平面的に描写する』という事なんですね。

そうなると、宝石や身の回り品、食器、調度品、そして建築などに、様々な装飾を加えようとするんです。

ここで、学びたいと想うのは、『置き換える力』なんですね。

私なら、絵も描けないし、織れないし、染められない。

だから、その前にある、自然とか、歴史とか、人間とか、様々なモノつまり置き換える前のモノを集めるわけです。

それを貯めに貯めておく。

その私がもっているカタマリのようなモノが、作家さんと結びついたときに、作品になるんです。

これは、作詞家と作曲家、歌手の関係に似ているのでしょうか。

それは、たぶん、私の作品でも作家さんの作品でもないのだろうと想います。

この世が生んだ作品なんでしょうね。

たしかガレもパリに工房を構えていたのが、途中からナンシーに帰っているんです。

ナンシーという所に行ったことがないので解りませんが、パリとはずいぶん違うところなのじゃないでしょうか。

絵画や彫刻が、精密で写実的な描写から、デザイン、創造というものに重点が移ってくると、重要なのは感性です。

多くの人は、その感性は自分が天から与えられたものだと想っているでしょうが、違いますね。

もちろん、天分もありますが、多くは環境によって育てられるモノです。

私の感性は南大阪という土地によって培われたものですし、もし京都に生まれ育っていたら全然別のものになっていたと想います。

私は、だからこそガレはナンシーに帰ったんだと想うんです。

私がピンとくる作品は、東京や京都に移り住んだのでは造れないと想います。

この南大阪の空気と風土が生んだ私の感性と、作り手さんの感性が結びついてこそできるものです。

イギリス、ドイツで何故、アール・ヌーボーが育たなかったのか。

それも同じ理由でしょう。

芸術のタネはどこにもありますが、その土地の風土や環境と合致してこそ、大輪の花を咲かせるのでしょう。




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