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  | 羽曳野市

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2010年08月31日

金融社会主義

10年ほど前だったでしょうか。

大阪慶應倶楽部での記念講演に加藤寛さんが来られました。

加藤さんは、この講演で色々嘘を言いましたが、一つだけ本当の事を言いました。

『金利2%以下が5年以上続くと金融社会主義になる』というものです。

私の眼に見えているだけでも大手流通各社は大手銀行にすべてをコントロールされ、生産から販売までの垂直統合を成し遂げました。

それは、貸し付けた資金を効率よく回収するためのしくみです。

その結果、メーカーも流通業者も銀行のいいなりになる、すなわち、自主独立の機能を失ったゾンビ企業ばかりがはびこる様になりました。

ダメだから大借金をして、返せなくなったのに、それを銀行が救って、資金の回収だけに躍起なる。

挙げ句の果てが、魅力のない低価格だけが命の商品の山です。

そして、消費者はボロの洋服やまずい食べ物を強要される羽目になってしまいました。

巨大なSCの進出でどれだけの街の商店が閉めたことでしょう。

それで、みんな豊かになったでしょうか。

銀行は統合して巨大化し、国民から金を吸い上げ、結局はまたバカな投資や運用をして、損をする。そのケツを拭かされるのが、私達一般国民です。

借金をしないでコツコツやっていた人達が、大借金をして銀行に支配された人達に駆逐される。こんな馬鹿げたことがありますか?

そして、下手を踏んだ銀行はどんどん問題を先送りして、ゾンビ企業を増加させる。

小泉・竹中の不良債権処理というのは、すなわち銀行を何が何でも助けるということだったのでしょうか。

そんな政策が10年も続けば、デフレになるのは当然です。

なぜなら、銀行は効率だけを考え、効果性=付加価値というものを見ようとしないからです。すべての高付加価値は文化の下支えがあってこそ生まれうるものです。住むだけ、食うだけ、着るだけに足るものでいいのなら、付加価値は大きくなりません。いまの経済は付加価値を最低限に削って、資金の回転だけを良くしようとする見方が優勢ですから、どんどん価格は下がっていくわけです。そのうち、消費者は付加価値に対して見る眼を失ってしまう。今、まさにその状態です。

法律で身分を守られた公務員や大手企業の組合員なら、いまのデフレは歓迎すべきことなのかもしれません。しかし、物を作り出す立場からすれば最悪です。

いくら努力をしても、その付加価値が正しく評価されなければ、収入に繋がらないし、そうなれば、やはり付加価値を下げて価格を下げ、数を売ろうとする。しかし、その競争をし始めたら大手に勝てる道理がありません。

アジア諸国から、似たような商品が数分の一の価格で入ってくる。その差を認識出来る人はそう多くないのです。

結局、市場は金融資本に守られた大手企業の寡占がどんどん進行していきます。

まさに、金融社会主義です。

金融が国民生活のすべてを支配してしまうのです。

それで、私達は幸福に豊かになったでしょうか。

私にはそうは思えません。

かつて松下幸之助氏が言ったような『ダム式経営』をしていけばこんな事にはならなかったはずです。

政府・日銀はこんな急場しのぎをいつまで続けるつもりなのか。

さらに金利を下げて流動性を高めても、はたして資金需要はあるのか。

為替介入をして円高を止めても、輸出産業がうるおうだけで、その利益はどこへいくのか。労働分配率が高まり、内需拡大に繋がるのか。結局は、また投資や株主の配当に向けられて、一定の企業と個人が潤うに留まるだけではないのか。

円高は輸出産業が停滞する反面、いま問題になっている日本買いを阻止する働きがあるのではないのか。銀座の土地や森林=水資源がどんどん外資に買われていく歯止めになる事はあるのではないのか。

ものづくりを生命線とするわが国で一番問題とすべきは、高付加価値を認識する感覚を失いつつある、ということではないでしょうか。

何が価値の高い物かが分からなければ、それを生み出す事ができるはずもありません。

今の金融支配は、それに対して全く逆方向です。

どんなよい品物を作っても、結局は大手の垂れ流すCMによって低付加価値の安物がはびこり、日の眼を観る事がない。そして、次第に消費者も鑑識眼を失っていく。工芸の世界の凋落はなにも不景気のせいだけではないのです。無機質な金融資本の支配が消費者から有機的な物を感じ取る能力を奪っていったのです。

このままでは、かならず日本のものづくりもダメになります。

そうならないために、私達工芸人ややらねばならないことは、まさに『心をとりもどす戦い』なのであろうと想います。

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Posted by 渡辺幻門 at 09:47│Comments(0)経済・思想
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