2011年03月08日
もずやと学ぶ染織マーケティング<9回目>
2−5 戦略的な価格デザイン
ここは本当に面白いですし、生活の中でも、実感できる部分が多いのではないでしょうかね。大半の話題は教科書を読めば解るでしょうが、少しずつみていきましょう。
<需要の価格弾力性>
価格弾力性というのは経済学の用語です。
つまり、なんぼ値段あげたら、どんだけ需要が増すか、そういう話です。
値段さげても、大して売り上げ上がらないのに、値段さげてもしゃーないやん。
下手したら、かえって売り上げ落ちたやん。
そんな話がよくあります。
これはその商品が価格弾力性が低いから起こることです。
ですから、価格を下げるときには、結果として絶対に成功させなければならないと言うことです。
私は、下げて、売れなかったら、商売人として恥や、と思っています。
なぜか?
自分の扱っている商品の特徴や市場の特性を把握していなかったということになるからです。
これは、経済学とマーケティングを学び、商人として生きる者には、耐えられない屈辱です。
まぁ、自分の事は良いのですが(^_^;)、教科書に書いてある通り、値段をあげたら逆によく売れる様になった、という場合もあるのです。
ここが面白いところです。化粧品や健康食品なんかはそういう傾向があるそうですね。
これは『価格に依拠した価値の推定』がされていると判断するわけです。
つまり、こんだけ高かったらよう効くやろ、と考える、ということです。
教科書に書いてあることは、実はマーケティングという学問の本質を表しています。
経済学では、変数として取る物以外を一定と考える。そしてその変数の相関関係を考察していくわけです。
でも、マーケティングは、その変数から数式やらを、まわりの別の要素を使って揺り動かしてやろうとするのです。
経済学的に言えば、良い食材を使って良い料理人が調理すれば、美味しいものが出来ると考える。でも、マーケティングは、その前に、食べる人の好みや、空腹感、料理を出すタイミング・組み合わせで、その前提を突き崩そうとするのです。
ここで、ポイントです。
○ 一般に、短期的には、価格を引き下げることで製品・サービスの販売料は増える。だが、長期的に見ると、価格の低下は、製品・サービスに対する顧客の評価を低下させることになりやすい。製品・サービスの価格を設定する際には、短期的に直面する需要の価格弾力性だけでなく、価格に依拠した価値の推定から生じる長期的な影響についても配慮することが必要である。
基本中の基本ですね。
昔、ヒロタのシュークリームというのがありました。
とても美味しいシュークリームで、幼い頃に両親がお土産で買ってきてくれるのが楽しみでした。ところが、あるところから、値段を下げた、ところが、その分、小さくなって、カスタードクリームの量も減って美味しくなくなった。
そんな経験を誰しもがしているわけですね。ですから、値段が下がったら、その分、品質も悪くなっているんではないかと、誰もが疑心暗鬼の眼を向けるわけです。そして、誰も買わなくなって、ヒロタのシュークリームはどこかに消えてしまいました。
この価格に関する話は、主婦にとってはとてもわかりやすい事だと思います。
それだけに、いかに価格戦略というものを企業は綿密に多角的に取っているかがよく分かるでしょう。
反面、私達和装業界はどうでしょう。
伝統工芸には、技術革新もなく、デザインの大幅な変更や、新たな用途の提案などはほとんど望めません。その中で、あるときはぼったくり、ある時は投げ売り。これは、マーケットインでもなんでもありません。安定した需要は安定した供給とそれにともなう安定した価格があってこそ生み出されるものだと私は思います。
私は街を歩くとき、すべての商品(もちろん和装品以外も)の価格をあてっこして行きます。商品を見て、その商品の価格を当てるのです。そして自分の商品を見る目と価格感覚を養い、世間とのズレを修整していくのです。
デパート、スーパー、大阪なら船場センタービルなどで、どんどん端から端までやっていく。
もちろん、高級とされる着物も宝石も、美術品も。
なんのためにするかといえば、適正価格を導き出すためです。
それが出来ないと、仕入れが出来ないのです。
作家さんが出した作品を見て、それがいくらで売れるか。
作家さんが提示した値段を聞いて、それで採算がとれるのかどうか。
そのためには、その時点での市場動向と、他の同じ分類の商品とのバランス、品質、デザインなど、ありとあらゆる要素を考え合わせて仕入れするかどうか判断するのです。
ですから、新人作家でも、人間国宝でも、バランスさえ取れていればOKなわけです。
新人でも、すばらしくセンスが良い、価格は中くらい。これならいけます。
人間国宝で価格が高い。でも、センスが悪い。これはいけません。
価格など他のマーケティング・ミックスを考えるときに大切な事は、
一度プロの世界に入ったら、新人も人間国宝も同じ土俵で戦うのだという認識
を持つことです。
消費者は、新人だからと甘く見てくれません。
序の口が横綱と戦うときにどうすればいいのか。
相撲の世界なら、胸を借りるだけでいいでしょう。
でも、私達の世界は負け続けでは、食べていけませんよ。
才能と努力に自信があるなら、Productの差を他の3Pで補うことです。
同じProductでも、低いPriceなら勝てるかも知れない。
別のPlace,別のPromotion.
対象顧客を変えれば観る人も変わる。評価する人も変わる。
造らなきゃ、腕は上がらないし、買ってもらわないと、仕事は来ません。
ゴルフの様にハンディはありません。
今回の価格戦略をはじめ、マーケティングを自分の制作や販売に生かすためにはできるだけ沢山のパターンを頭に詰め込むことです。
この章に書いてある事例を理解するのはもとより、他の身の回りにある商品の戦略を自分で分析して当てはめてみる。
そうすれば、自分の作品に一番適する戦略が描けると思います。
その時、考えなければいけないことは、自分がどの立ち位置に居るかです。
創作なら何をしてもいいでしょう。
でも、伝統工芸に立脚しているとしたら、それは自分の前と後にいる人の事を考えなければならない。
そこが染織マーケティングを考える上での根幹です。
なぜ、和装業界が現在のていたらくなのか。
それは、作品を大して知らない、愛していない流通がマーケティングをコントロールしているからです。
それは販売が難しいという商品の特性にも起因していますが、基本的には作品のマーケティング・デザインは作り手が主導すべきだと私は思います。
作り手は、品物を問屋に出せば、それで終わり、これでは、せっかくの作品が菜っ葉や大根の様に扱われても仕方がないのです。
今や、菜っ葉も農家が色々工夫をして、味だけでなく安全と安心を、自分の顔と名前でアピールしている時代です。
一番、生活に密着したマーケティング。それは価格戦略です。
まずは、身の回りから見て、じっくり考察してみましょう。
ここは本当に面白いですし、生活の中でも、実感できる部分が多いのではないでしょうかね。大半の話題は教科書を読めば解るでしょうが、少しずつみていきましょう。
<需要の価格弾力性>
価格弾力性というのは経済学の用語です。
つまり、なんぼ値段あげたら、どんだけ需要が増すか、そういう話です。
値段さげても、大して売り上げ上がらないのに、値段さげてもしゃーないやん。
下手したら、かえって売り上げ落ちたやん。
そんな話がよくあります。
これはその商品が価格弾力性が低いから起こることです。
ですから、価格を下げるときには、結果として絶対に成功させなければならないと言うことです。
私は、下げて、売れなかったら、商売人として恥や、と思っています。
なぜか?
自分の扱っている商品の特徴や市場の特性を把握していなかったということになるからです。
これは、経済学とマーケティングを学び、商人として生きる者には、耐えられない屈辱です。
まぁ、自分の事は良いのですが(^_^;)、教科書に書いてある通り、値段をあげたら逆によく売れる様になった、という場合もあるのです。
ここが面白いところです。化粧品や健康食品なんかはそういう傾向があるそうですね。
これは『価格に依拠した価値の推定』がされていると判断するわけです。
つまり、こんだけ高かったらよう効くやろ、と考える、ということです。
教科書に書いてあることは、実はマーケティングという学問の本質を表しています。
経済学では、変数として取る物以外を一定と考える。そしてその変数の相関関係を考察していくわけです。
でも、マーケティングは、その変数から数式やらを、まわりの別の要素を使って揺り動かしてやろうとするのです。
経済学的に言えば、良い食材を使って良い料理人が調理すれば、美味しいものが出来ると考える。でも、マーケティングは、その前に、食べる人の好みや、空腹感、料理を出すタイミング・組み合わせで、その前提を突き崩そうとするのです。
ここで、ポイントです。
○ 一般に、短期的には、価格を引き下げることで製品・サービスの販売料は増える。だが、長期的に見ると、価格の低下は、製品・サービスに対する顧客の評価を低下させることになりやすい。製品・サービスの価格を設定する際には、短期的に直面する需要の価格弾力性だけでなく、価格に依拠した価値の推定から生じる長期的な影響についても配慮することが必要である。
基本中の基本ですね。
昔、ヒロタのシュークリームというのがありました。
とても美味しいシュークリームで、幼い頃に両親がお土産で買ってきてくれるのが楽しみでした。ところが、あるところから、値段を下げた、ところが、その分、小さくなって、カスタードクリームの量も減って美味しくなくなった。
そんな経験を誰しもがしているわけですね。ですから、値段が下がったら、その分、品質も悪くなっているんではないかと、誰もが疑心暗鬼の眼を向けるわけです。そして、誰も買わなくなって、ヒロタのシュークリームはどこかに消えてしまいました。
この価格に関する話は、主婦にとってはとてもわかりやすい事だと思います。
それだけに、いかに価格戦略というものを企業は綿密に多角的に取っているかがよく分かるでしょう。
反面、私達和装業界はどうでしょう。
伝統工芸には、技術革新もなく、デザインの大幅な変更や、新たな用途の提案などはほとんど望めません。その中で、あるときはぼったくり、ある時は投げ売り。これは、マーケットインでもなんでもありません。安定した需要は安定した供給とそれにともなう安定した価格があってこそ生み出されるものだと私は思います。
私は街を歩くとき、すべての商品(もちろん和装品以外も)の価格をあてっこして行きます。商品を見て、その商品の価格を当てるのです。そして自分の商品を見る目と価格感覚を養い、世間とのズレを修整していくのです。
デパート、スーパー、大阪なら船場センタービルなどで、どんどん端から端までやっていく。
もちろん、高級とされる着物も宝石も、美術品も。
なんのためにするかといえば、適正価格を導き出すためです。
それが出来ないと、仕入れが出来ないのです。
作家さんが出した作品を見て、それがいくらで売れるか。
作家さんが提示した値段を聞いて、それで採算がとれるのかどうか。
そのためには、その時点での市場動向と、他の同じ分類の商品とのバランス、品質、デザインなど、ありとあらゆる要素を考え合わせて仕入れするかどうか判断するのです。
ですから、新人作家でも、人間国宝でも、バランスさえ取れていればOKなわけです。
新人でも、すばらしくセンスが良い、価格は中くらい。これならいけます。
人間国宝で価格が高い。でも、センスが悪い。これはいけません。
価格など他のマーケティング・ミックスを考えるときに大切な事は、
一度プロの世界に入ったら、新人も人間国宝も同じ土俵で戦うのだという認識
を持つことです。
消費者は、新人だからと甘く見てくれません。
序の口が横綱と戦うときにどうすればいいのか。
相撲の世界なら、胸を借りるだけでいいでしょう。
でも、私達の世界は負け続けでは、食べていけませんよ。
才能と努力に自信があるなら、Productの差を他の3Pで補うことです。
同じProductでも、低いPriceなら勝てるかも知れない。
別のPlace,別のPromotion.
対象顧客を変えれば観る人も変わる。評価する人も変わる。
造らなきゃ、腕は上がらないし、買ってもらわないと、仕事は来ません。
ゴルフの様にハンディはありません。
今回の価格戦略をはじめ、マーケティングを自分の制作や販売に生かすためにはできるだけ沢山のパターンを頭に詰め込むことです。
この章に書いてある事例を理解するのはもとより、他の身の回りにある商品の戦略を自分で分析して当てはめてみる。
そうすれば、自分の作品に一番適する戦略が描けると思います。
その時、考えなければいけないことは、自分がどの立ち位置に居るかです。
創作なら何をしてもいいでしょう。
でも、伝統工芸に立脚しているとしたら、それは自分の前と後にいる人の事を考えなければならない。
そこが染織マーケティングを考える上での根幹です。
なぜ、和装業界が現在のていたらくなのか。
それは、作品を大して知らない、愛していない流通がマーケティングをコントロールしているからです。
それは販売が難しいという商品の特性にも起因していますが、基本的には作品のマーケティング・デザインは作り手が主導すべきだと私は思います。
作り手は、品物を問屋に出せば、それで終わり、これでは、せっかくの作品が菜っ葉や大根の様に扱われても仕方がないのです。
今や、菜っ葉も農家が色々工夫をして、味だけでなく安全と安心を、自分の顔と名前でアピールしている時代です。
一番、生活に密着したマーケティング。それは価格戦略です。
まずは、身の回りから見て、じっくり考察してみましょう。
2011年03月08日
もずやと学ぶ染織マーケティング<9回目>
2−5 戦略的な価格デザイン
ここは本当に面白いですし、生活の中でも、実感できる部分が多いのではないでしょうかね。大半の話題は教科書を読めば解るでしょうが、少しずつみていきましょう。
<需要の価格弾力性>
価格弾力性というのは経済学の用語です。
つまり、なんぼ値段あげたら、どんだけ需要が増すか、そういう話です。
値段さげても、大して売り上げ上がらないのに、値段さげてもしゃーないやん。
下手したら、かえって売り上げ落ちたやん。
そんな話がよくあります。
これはその商品が価格弾力性が低いから起こることです。
ですから、価格を下げるときには、結果として絶対に成功させなければならないと言うことです。
私は、下げて、売れなかったら、商売人として恥や、と思っています。
なぜか?
自分の扱っている商品の特徴や市場の特性を把握していなかったということになるからです。
これは、経済学とマーケティングを学び、商人として生きる者には、耐えられない屈辱です。
まぁ、自分の事は良いのですが(^_^;)、教科書に書いてある通り、値段をあげたら逆によく売れる様になった、という場合もあるのです。
ここが面白いところです。化粧品や健康食品なんかはそういう傾向があるそうですね。
これは『価格に依拠した価値の推定』がされていると判断するわけです。
つまり、こんだけ高かったらよう効くやろ、と考える、ということです。
教科書に書いてあることは、実はマーケティングという学問の本質を表しています。
経済学では、変数として取る物以外を一定と考える。そしてその変数の相関関係を考察していくわけです。
でも、マーケティングは、その変数から数式やらを、まわりの別の要素を使って揺り動かしてやろうとするのです。
経済学的に言えば、良い食材を使って良い料理人が調理すれば、美味しいものが出来ると考える。でも、マーケティングは、その前に、食べる人の好みや、空腹感、料理を出すタイミング・組み合わせで、その前提を突き崩そうとするのです。
ここで、ポイントです。
○ 一般に、短期的には、価格を引き下げることで製品・サービスの販売料は増える。だが、長期的に見ると、価格の低下は、製品・サービスに対する顧客の評価を低下させることになりやすい。製品・サービスの価格を設定する際には、短期的に直面する需要の価格弾力性だけでなく、価格に依拠した価値の推定から生じる長期的な影響についても配慮することが必要である。
基本中の基本ですね。
昔、ヒロタのシュークリームというのがありました。
とても美味しいシュークリームで、幼い頃に両親がお土産で買ってきてくれるのが楽しみでした。ところが、あるところから、値段を下げた、ところが、その分、小さくなって、カスタードクリームの量も減って美味しくなくなった。
そんな経験を誰しもがしているわけですね。ですから、値段が下がったら、その分、品質も悪くなっているんではないかと、誰もが疑心暗鬼の眼を向けるわけです。そして、誰も買わなくなって、ヒロタのシュークリームはどこかに消えてしまいました。
この価格に関する話は、主婦にとってはとてもわかりやすい事だと思います。
それだけに、いかに価格戦略というものを企業は綿密に多角的に取っているかがよく分かるでしょう。
反面、私達和装業界はどうでしょう。
伝統工芸には、技術革新もなく、デザインの大幅な変更や、新たな用途の提案などはほとんど望めません。その中で、あるときはぼったくり、ある時は投げ売り。これは、マーケットインでもなんでもありません。安定した需要は安定した供給とそれにともなう安定した価格があってこそ生み出されるものだと私は思います。
私は街を歩くとき、すべての商品(もちろん和装品以外も)の価格をあてっこして行きます。商品を見て、その商品の価格を当てるのです。そして自分の商品を見る目と価格感覚を養い、世間とのズレを修整していくのです。
デパート、スーパー、大阪なら船場センタービルなどで、どんどん端から端までやっていく。
もちろん、高級とされる着物も宝石も、美術品も。
なんのためにするかといえば、適正価格を導き出すためです。
それが出来ないと、仕入れが出来ないのです。
作家さんが出した作品を見て、それがいくらで売れるか。
作家さんが提示した値段を聞いて、それで採算がとれるのかどうか。
そのためには、その時点での市場動向と、他の同じ分類の商品とのバランス、品質、デザインなど、ありとあらゆる要素を考え合わせて仕入れするかどうか判断するのです。
ですから、新人作家でも、人間国宝でも、バランスさえ取れていればOKなわけです。
新人でも、すばらしくセンスが良い、価格は中くらい。これならいけます。
人間国宝で価格が高い。でも、センスが悪い。これはいけません。
価格など他のマーケティング・ミックスを考えるときに大切な事は、
一度プロの世界に入ったら、新人も人間国宝も同じ土俵で戦うのだという認識
を持つことです。
消費者は、新人だからと甘く見てくれません。
序の口が横綱と戦うときにどうすればいいのか。
相撲の世界なら、胸を借りるだけでいいでしょう。
でも、私達の世界は負け続けでは、食べていけませんよ。
才能と努力に自信があるなら、Productの差を他の3Pで補うことです。
同じProductでも、低いPriceなら勝てるかも知れない。
別のPlace,別のPromotion.
対象顧客を変えれば観る人も変わる。評価する人も変わる。
造らなきゃ、腕は上がらないし、買ってもらわないと、仕事は来ません。
ゴルフの様にハンディはありません。
今回の価格戦略をはじめ、マーケティングを自分の制作や販売に生かすためにはできるだけ沢山のパターンを頭に詰め込むことです。
この章に書いてある事例を理解するのはもとより、他の身の回りにある商品の戦略を自分で分析して当てはめてみる。
そうすれば、自分の作品に一番適する戦略が描けると思います。
その時、考えなければいけないことは、自分がどの立ち位置に居るかです。
創作なら何をしてもいいでしょう。
でも、伝統工芸に立脚しているとしたら、それは自分の前と後にいる人の事を考えなければならない。
そこが染織マーケティングを考える上での根幹です。
なぜ、和装業界が現在のていたらくなのか。
それは、作品を大して知らない、愛していない流通がマーケティングをコントロールしているからです。
それは販売が難しいという商品の特性にも起因していますが、基本的には作品のマーケティング・デザインは作り手が主導すべきだと私は思います。
作り手は、品物を問屋に出せば、それで終わり、これでは、せっかくの作品が菜っ葉や大根の様に扱われても仕方がないのです。
今や、菜っ葉も農家が色々工夫をして、味だけでなく安全と安心を、自分の顔と名前でアピールしている時代です。
一番、生活に密着したマーケティング。それは価格戦略です。
まずは、身の回りから見て、じっくり考察してみましょう。
ここは本当に面白いですし、生活の中でも、実感できる部分が多いのではないでしょうかね。大半の話題は教科書を読めば解るでしょうが、少しずつみていきましょう。
<需要の価格弾力性>
価格弾力性というのは経済学の用語です。
つまり、なんぼ値段あげたら、どんだけ需要が増すか、そういう話です。
値段さげても、大して売り上げ上がらないのに、値段さげてもしゃーないやん。
下手したら、かえって売り上げ落ちたやん。
そんな話がよくあります。
これはその商品が価格弾力性が低いから起こることです。
ですから、価格を下げるときには、結果として絶対に成功させなければならないと言うことです。
私は、下げて、売れなかったら、商売人として恥や、と思っています。
なぜか?
自分の扱っている商品の特徴や市場の特性を把握していなかったということになるからです。
これは、経済学とマーケティングを学び、商人として生きる者には、耐えられない屈辱です。
まぁ、自分の事は良いのですが(^_^;)、教科書に書いてある通り、値段をあげたら逆によく売れる様になった、という場合もあるのです。
ここが面白いところです。化粧品や健康食品なんかはそういう傾向があるそうですね。
これは『価格に依拠した価値の推定』がされていると判断するわけです。
つまり、こんだけ高かったらよう効くやろ、と考える、ということです。
教科書に書いてあることは、実はマーケティングという学問の本質を表しています。
経済学では、変数として取る物以外を一定と考える。そしてその変数の相関関係を考察していくわけです。
でも、マーケティングは、その変数から数式やらを、まわりの別の要素を使って揺り動かしてやろうとするのです。
経済学的に言えば、良い食材を使って良い料理人が調理すれば、美味しいものが出来ると考える。でも、マーケティングは、その前に、食べる人の好みや、空腹感、料理を出すタイミング・組み合わせで、その前提を突き崩そうとするのです。
ここで、ポイントです。
○ 一般に、短期的には、価格を引き下げることで製品・サービスの販売料は増える。だが、長期的に見ると、価格の低下は、製品・サービスに対する顧客の評価を低下させることになりやすい。製品・サービスの価格を設定する際には、短期的に直面する需要の価格弾力性だけでなく、価格に依拠した価値の推定から生じる長期的な影響についても配慮することが必要である。
基本中の基本ですね。
昔、ヒロタのシュークリームというのがありました。
とても美味しいシュークリームで、幼い頃に両親がお土産で買ってきてくれるのが楽しみでした。ところが、あるところから、値段を下げた、ところが、その分、小さくなって、カスタードクリームの量も減って美味しくなくなった。
そんな経験を誰しもがしているわけですね。ですから、値段が下がったら、その分、品質も悪くなっているんではないかと、誰もが疑心暗鬼の眼を向けるわけです。そして、誰も買わなくなって、ヒロタのシュークリームはどこかに消えてしまいました。
この価格に関する話は、主婦にとってはとてもわかりやすい事だと思います。
それだけに、いかに価格戦略というものを企業は綿密に多角的に取っているかがよく分かるでしょう。
反面、私達和装業界はどうでしょう。
伝統工芸には、技術革新もなく、デザインの大幅な変更や、新たな用途の提案などはほとんど望めません。その中で、あるときはぼったくり、ある時は投げ売り。これは、マーケットインでもなんでもありません。安定した需要は安定した供給とそれにともなう安定した価格があってこそ生み出されるものだと私は思います。
私は街を歩くとき、すべての商品(もちろん和装品以外も)の価格をあてっこして行きます。商品を見て、その商品の価格を当てるのです。そして自分の商品を見る目と価格感覚を養い、世間とのズレを修整していくのです。
デパート、スーパー、大阪なら船場センタービルなどで、どんどん端から端までやっていく。
もちろん、高級とされる着物も宝石も、美術品も。
なんのためにするかといえば、適正価格を導き出すためです。
それが出来ないと、仕入れが出来ないのです。
作家さんが出した作品を見て、それがいくらで売れるか。
作家さんが提示した値段を聞いて、それで採算がとれるのかどうか。
そのためには、その時点での市場動向と、他の同じ分類の商品とのバランス、品質、デザインなど、ありとあらゆる要素を考え合わせて仕入れするかどうか判断するのです。
ですから、新人作家でも、人間国宝でも、バランスさえ取れていればOKなわけです。
新人でも、すばらしくセンスが良い、価格は中くらい。これならいけます。
人間国宝で価格が高い。でも、センスが悪い。これはいけません。
価格など他のマーケティング・ミックスを考えるときに大切な事は、
一度プロの世界に入ったら、新人も人間国宝も同じ土俵で戦うのだという認識
を持つことです。
消費者は、新人だからと甘く見てくれません。
序の口が横綱と戦うときにどうすればいいのか。
相撲の世界なら、胸を借りるだけでいいでしょう。
でも、私達の世界は負け続けでは、食べていけませんよ。
才能と努力に自信があるなら、Productの差を他の3Pで補うことです。
同じProductでも、低いPriceなら勝てるかも知れない。
別のPlace,別のPromotion.
対象顧客を変えれば観る人も変わる。評価する人も変わる。
造らなきゃ、腕は上がらないし、買ってもらわないと、仕事は来ません。
ゴルフの様にハンディはありません。
今回の価格戦略をはじめ、マーケティングを自分の制作や販売に生かすためにはできるだけ沢山のパターンを頭に詰め込むことです。
この章に書いてある事例を理解するのはもとより、他の身の回りにある商品の戦略を自分で分析して当てはめてみる。
そうすれば、自分の作品に一番適する戦略が描けると思います。
その時、考えなければいけないことは、自分がどの立ち位置に居るかです。
創作なら何をしてもいいでしょう。
でも、伝統工芸に立脚しているとしたら、それは自分の前と後にいる人の事を考えなければならない。
そこが染織マーケティングを考える上での根幹です。
なぜ、和装業界が現在のていたらくなのか。
それは、作品を大して知らない、愛していない流通がマーケティングをコントロールしているからです。
それは販売が難しいという商品の特性にも起因していますが、基本的には作品のマーケティング・デザインは作り手が主導すべきだと私は思います。
作り手は、品物を問屋に出せば、それで終わり、これでは、せっかくの作品が菜っ葉や大根の様に扱われても仕方がないのです。
今や、菜っ葉も農家が色々工夫をして、味だけでなく安全と安心を、自分の顔と名前でアピールしている時代です。
一番、生活に密着したマーケティング。それは価格戦略です。
まずは、身の回りから見て、じっくり考察してみましょう。
Posted by 渡辺幻門 at
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